ワキガじゃないのに脇が臭いのはなぜ?原因と対処法を医師が解説
大阪府大阪市の古林形成外科 難波心斎橋院です。当院では、日本形成外科学会認定の形成外科専門医が、患者さま一人ひとりの症状やご希望に合わせたワキガ治療を行っています。
ワキガではないのに、脇の臭いが気になるという悩みは少なくありません。汗そのものはほとんど無臭ですが、皮膚の常在菌が汗や皮脂などを分解することで臭いが生じます。
この記事では、ワキガ以外に脇が臭くなる原因、ワキガとの見分け方、自分でできる対処法をわかりやすく解説します。
ワキガじゃなくても脇が臭くなる理由
ワキガでなくても、脇がにおうことはあります。脇の臭いは、皮膚にいる常在菌が汗や皮脂を分解するときに生まれるためです。臭いがあること自体が、ワキガを意味するわけではありません。
汗そのものはほとんど無臭
脇には、汗を出す汗腺が2種類あります。
- エクリン汗腺:全身にあり、体温調節のために汗を出します。成分のほとんどは水分で、出たばかりの汗はほぼ無臭です
- アポクリン汗腺:脇の下や陰部など限られた部位にあり、たんぱく質や脂質を含んだ汗を出します。ワキガの臭いのもとになります
暑い日や緊張したときにかく汗の多くは、エクリン汗腺から出たものです。これらの汗は、かいた直後にはにおいません。「汗をかくとにおう」と感じるのは、時間の経過とともに常在菌が汗や皮脂を分解するためです。
常在菌が汗や皮脂を分解して臭いが生まれる
皮膚には、常在菌がすんでいます。汗をそのままにしておくと、常在菌が汗や皮脂、はがれた角質を分解し、臭いのもとになる物質が生まれます。これが、一般的な汗の臭いにつながります。
脇は衣類におおわれて蒸れやすく、体温も高いため、常在菌が増えやすい場所です。
ワキガの臭いとは何が違うのか
臭いが生まれる仕組みは、ワキガの人もそうでない人も、皮膚の常在菌が汗などの成分を分解するという点では共通しています。違いは、主に脇から出る汗の成分です。
エクリン汗腺から出る汗は、ほとんどが水分です。これが皮脂や角質とともに菌に分解されると、酸っぱいような汗の臭いにつながります。
一方、アポクリン汗腺から出る汗には、たんぱく質や脂質が多く含まれています。これらの成分が常在菌によって分解されることで、ワキガ特有の鼻をつくような臭いが生じます。同じように汗をかいても臭いの質が異なるのは、このためです。
アポクリン汗腺は誰にでもありますが、その数や大きさには生まれつき個人差があります。数が多く発達している人ほど、ワキガの臭いが強くなる傾向があります。
ワキガ以外で脇が臭くなる主な原因
ワキガ以外にも、脇が臭くなる原因はいくつもあります。汗をかいたあとの過ごし方、衣類の状態、汗の量、体調の変化などが関係します。思い当たるものがないか確認してみましょう。
かいた汗をそのままにしている
よくみられるのが、かいた汗をそのままにしている場合です。汗をかいてから時間がたつほど菌が増え、臭いも強くなりやすくなります。
汗を拭かずに過ごしたり、汗をかいたまま同じ服を着続けたりすると、脇の中は蒸れた状態が続きます。朝は気にならなかったのに夕方になると臭う場合は、こうした影響が考えられます。
脇が酸っぱい臭いになるとき
脇から酸っぱいにおいがするときは、汗に含まれる乳酸や、菌がつくる酸性の物質が関係していると考えられています。ワキガ特有の鼻をつくようなにおいとは、性質の異なるものです。
疲れがたまっているときや、運動後に汗を放置したときに感じやすくなります。香辛料や肉類、にんにくなどを多くとった日は、汗の成分が変わって臭いが強まることもあります。
衣類に菌や皮脂が残っている
脇そのものではなく、衣類が臭いの原因になっていることもあります。
洗濯しても落ちきらなかった皮脂や菌が繊維に残っていると、汗をかいたときに再びにおいが気になることがあります。脇の部分だけ黄ばんでいる服や、乾くまでに時間がかかった洗濯物については、衣類側のにおいも確かめてみてください。
脇汗の量が多い
汗の量が多いと、それだけ脇が蒸れやすくなり、臭いも強く感じやすくなります。
脇の汗が極端に多く、服に汗じみができる、日常生活に支障が出るといった場合は、腋窩多汗症の可能性があります。多汗症はワキガとは別の疾患ですが、両方を併せ持つ方もいます。
脇汗が多く、保険診療を含む治療について詳しく知りたい方は、「脇汗治療は保険適用になる?条件・費用・治療法を医師が解説」もあわせてご覧ください。
ホルモンバランスや自律神経の影響
体調や生活の変化によって、汗の量や質が変わることもあります。
思春期はアポクリン汗腺の働きが活発になる時期です。女性では、月経前や妊娠中、更年期にホルモンバランスが変化し、汗の量や臭いが変わることがあります。強いストレスや緊張が続くときも、自律神経の影響で汗をかきやすくなります。
こうした体調の変化に伴う臭いは一時的なこともあり、体調が落ち着くにつれてやわらぐ場合があります。
ワキガの臭いとの違い
ワキガの臭いは、一般的な汗の臭いとは質が異なります。汗の臭いが酸っぱさを感じさせるのに対し、ワキガは鼻をつくような、鉛筆の芯や古い雑巾にたとえられる独特の臭いです。臭いの質と、臭いが気になるタイミングが見分ける手がかりになります。
臭いの質とタイミングで見分ける
一般的な汗の臭いは、汗をかいて時間がたってから強くなります。汗を拭いたり、シャワーを浴びたりすると抑まる点も特徴です。
一方、ワキガでは、汗をかいていないときにも臭いが気になることがあります。季節や発汗量にかかわらず臭いが続く場合もあり、こうした違いが判断の手がかりになります。
ワキガと一般的な汗臭さの違いについては、「ワキガと汗臭さの違いとは?においの特徴や見分け方、受診の目安を解説」で詳しく解説しています。
耳垢や黄ばみ、家族歴もサインになる
アポクリン汗腺は、耳の中にも分布しています。そのため、耳垢が湿っている、粘り気があるという方は、アポクリン汗腺が発達している可能性があります。
耳垢とワキガ体質の関係については、「耳垢が湿っているとワキガ?体質診断とにおいの改善法を解説!」で詳しく紹介しています。
また、脇の部分の衣類が黄色く染まる場合も、アポクリン汗腺からの汗の成分が関係していることがあります。
衣類の黄ばみとワキガの関係については、「ワキガで洋服が黄ばむ?考えられる原因と対策を徹底解説!」も参考にしてください。
家族にワキガの人がいるかどうかも手がかりになります。アポクリン汗腺の数や大きさは生まれつきの体質で、遺伝の影響を受けます。両親のどちらかがワキガであれば体質を受け継ぐ可能性があり、両親ともにワキガの場合はその可能性がさらに高くなります。
ワキガと遺伝の関係については、「ワキガは子供に遺伝する?症状を抑えるためのセルフケアも解説!」で詳しく解説しています。
自分でできる対処法
脇の臭いは、日々のケアで軽減できることがあります。基本となるのは、汗をこまめに拭き取ること、洗い方と衣類を見直すこと、制汗剤を正しく使うことです。
汗はこまめに拭き取る
汗をかいてから時間がたつほど菌が増えるため、できるだけ早く拭き取ります。
乾いたタオルで拭くと汗の成分が肌に残りやすいため、濡れたタオルやウェットシートを使い、拭いたあとは乾かしましょう。外出先でも、汗をかいたタイミングでこまめに拭くことで、臭いを抑えやすくなります。
脇毛が多いと汗や皮脂がとどまりやすく、菌が増えやすい環境になります。脇毛を整えることで、蒸れにくくなることもあります。
洗い方と衣類を見直す
脇はやさしく洗いましょう。ゴシゴシこすると肌が傷つき、かえって皮脂の分泌が増えることがあります。石けんをよく泡立て、指の腹で洗うのが基本です。
衣類は、汗をかいたらできるだけ早く着替えます。通気性のよい素材を選び、汗をかく季節は替えのインナーを用意しておくと安心です。
制汗剤は清潔な肌に使う
制汗剤やデオドラント剤は、汗や菌を抑えて臭いを軽減します。ただし、汗をかいた上から重ねて使っても十分に働かないことがあります。
使用するのは、汗を拭き取ったあとや入浴後の清潔な肌です。朝の外出前に加え、日中に塗り直すときも、まず汗を拭いてから使用しましょう。
脇の臭いが続くときは何科を受診する?
セルフケアを続けても脇の臭いが変わらないときは、形成外科または皮膚科への相談が選択肢となります。ワキガ(腋臭症)や腋窩多汗症は医療機関で診察・診断される疾患で、症状や診断内容によっては保険診療の対象となる治療があります。
形成外科・皮膚科でわかること
診察では、問診で発症時期や家族歴、生活への影響を確認したうえで、実際の臭いの程度、発汗量、耳垢の性状などを診ていきます。
腋臭症の重症度は、ガーゼを一定時間脇に当てて臭いの強さを評価する方法(ガーゼテスト)などで判定します。汗の量が問題となる場合は、ヨウ素デンプン反応(ミノール法)で発汗部位を可視化したり、一定時間あたりの発汗量を測定したりすることもあります。
こうした評価によって、臭いの原因が腋臭症によるものか、発汗量の多さによるものか、あるいは別の要因かを見きわめます。腋臭症と腋窩多汗症を併せ持つ方もいるため、どちらの症状が中心なのかを確認することが、治療方針を考えるうえで重要です。
自分では強い臭いに感じても、診察では治療の必要がないと判断されることがあります。逆に、自分の臭いには慣れて気づきにくくなっている場合もあります。
診断がついた場合の治療
腋臭症や腋窩多汗症と診断された場合、重症度などに応じて次のような治療があります。
保険適用の治療
- 外用薬:エクロックゲルやラピフォートワイプなどの塗り薬で、汗の分泌を抑えます。原発性腋窩多汗症が対象です
- ボツリヌス毒素注射:神経終末からのアセチルコリン放出を抑え、発汗を抑制します。重度の原発性腋窩多汗症と診断された場合に保険が適用されます
- 剪除法(せんじょほう):脇のしわに沿って皮膚を切開し、皮膚を裏返してアポクリン汗腺を目で確認しながら切除します。汗腺を直接取り除く治療で、重度の腋臭症では保険が適用されます
剪除法の適応や治療の流れ、術後の注意点については、「剪除法(皮弁法)」の治療ページで詳しくご案内しています。
自由診療の治療
- ミラドライ:マイクロ波を照射し、皮膚を切開せずに汗腺を熱で破壊します。自由診療のため、費用は自己負担となります
ミラドライの特徴や治療の流れ、費用・リスクについては、「ミラドライ治療」のページをご覧ください。
治療の選択は、臭いの重症度、発汗量、生活や仕事への影響、ダウンタイムを許容できるかどうかなどを踏まえて決めていきます。
脇の臭いは人に相談しにくく、一人で悩みを抱えてしまいがちです。セルフケアを続けても改善しないと感じる場合は、医療機関への相談をご検討ください。
ワキガの診察・治療のご相談
古林形成外科 難波心斎橋院では、形成外科専門医が患者様一人ひとりの状態に合わせ、ワキガ治療を行っています。ワキガの診断からミラドライによる施術、剪除法による日帰り手術まで、一貫して対応しています。お気軽にご相談ください。
お電話は診療時間内にお願いいたします。
まとめ
ワキガでなくても、脇が臭うことはあります。脇の臭いは、皮膚の常在菌が汗や皮脂を分解することで生まれるためです。
ワキガ以外の原因としては、汗をかいたままにしていること、衣類に皮脂や菌が残っていること、汗の量が多いこと、ホルモンバランスや自律神経の変化などが挙げられます。まずは汗をこまめに拭き取り、衣類、制汗剤の使い方を見直すことで、臭いが軽くなることがあります。
一方、汗をかいていないときにも臭いが気になる、季節にかかわらず臭いが続く、耳垢が湿っている、家族にワキガの人がいるといった特徴が重なる場合は、腋臭症の可能性があります。
腋臭症や腋窩多汗症では、診断内容や症状によって保険診療の対象となる治療があります。セルフケアを続けても改善しないときは、形成外科や皮膚科の受診をおすすめします。
ワキガ治療は古林形成外科 難波心斎橋院へ

大阪市の古林形成外科 難波心斎橋院では、日本形成外科学会認定の形成外科専門医が、一人ひとりの症状に合わせたワキガ治療を行っています。
ワキガの臭いや重症度には個人差があります。セルフケアで軽くなる方もいれば、治療を検討した方がよい方もいます。当院ではまず診察で、臭いの程度や発汗の状態、日常生活への影響を確認し、治療が必要かどうかを含めて診断します。
治療は、剪除法、ボトックス注射、ミラドライに対応しています。症状の程度やお仕事の都合、ダウンタイムのご希望などを踏まえて、適した方法をご提案します。保険が使えるかどうかや費用についても診察時にご説明しますので、気になることはお気軽にお尋ねください。
ワキガでお悩みの方は、当院までご相談ください。

