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医療コラム

【ワキガのレベル診断】重症度の見分け方と対策を専門医が解説

ワキガのレベル診断

大阪府大阪市の古林形成外科難波院です。

ワキのにおいがふと気になり、「これはワキガなのか」「もしそうなら、どのくらいのレベルなのか」と不安を抱えていませんか。ワキガのにおいは自分では気づきにくく、程度を客観的に判断するのは難しいものです。

この記事では、ワキガのレベルが一般的にどのように分けられるのか、その見分け方の目安、体質のサインやガーゼテストといった判定方法、そしてレベルごとに考えられる対策や治療までを、わかりやすく解説します。

ワキガのレベルは主に5段階|レベル3以上が受診を検討する目安です

ワキガ(医学的には腋臭症といいます)のレベルは、においの程度によって、一般的にレベル1からレベル5までの5段階で表されることが多くなっています。数字が大きくなるほど、においが強い状態を指します。

大まかな目安は次のとおりです。

  • レベル1〜2:ワキガの可能性が低いか、体臭の範囲と考えられる状態
  • レベル3:軽度
  • レベル4:中等度
  • レベル5:重度

医療機関では、レベル3以上でワキガ(腋臭症)と診断されることが多いとされています。そのため、レベル3以上に当てはまりそうな場合や、においが日常生活で気になっている場合は、一度医療機関で相談することで状態を正しく把握することができます。

最終的なレベルや治療方針は、医師の診察によって判断されます。

そもそもワキガ(腋臭症)とは?レベルを決める仕組み

ワキガとは、ワキの下から特有のにおいが生じる状態のことで、医学的には腋臭症と呼ばれます。においの強さ、つまりレベルには個人差がありますが、その差はおもに汗を出す「汗腺」の働きによって生まれます。

においの原因は「アポクリン汗腺」

ワキの下には、汗を出す汗腺が2種類あります。ひとつは全身にあるエクリン汗腺で、ここから出る汗はほとんどが水分で、においはほとんどありません。もうひとつがアポクリン汗腺で、ワキの下や耳の中などに多く分布しています。

ワキガのにおいのもとになるのは、このアポクリン汗腺から出る汗です。アポクリン汗腺の汗にはタンパク質や脂質などが含まれており、それが皮膚の表面にいる細菌によって分解されるときに、特有のにおいが発生します。アポクリン汗腺の数や大きさには生まれつき個人差があり、これがワキガのレベルを左右する大きな要因になります。

レベルを左右する要因(遺伝・多汗など)

アポクリン汗腺の数や働きには、いくつかの要因が関係するとされています。

  • 遺伝:アポクリン汗腺の数は遺伝の影響を受けるとされ、ご家族にワキガ体質の方がいる場合、体質を受け継いでいる可能性があります
  • 汗の量(多汗):エクリン汗腺から出る汗が多いと、アポクリン汗腺のにおい成分が広がりやすくなり、においを強く感じやすくなることがあります
  • 生活習慣:脂質の多い食事や喫煙、飲酒などが、においに影響することがあります

これらの要因が重なることで、においの感じ方(レベル)が変わってきます。

ワキガのレベルはどう判定する?体質のサインとガーゼテスト

ワキガのレベルは、においの強さによって判定されます。ただし、においそのものを自分で客観的に評価することは難しいため、実際の判定は医療機関で行われます。ここでは、ワキガ体質の傾向がわかるサインと、医療機関で用いられる判定方法を紹介します。

ワキガ体質の傾向がわかるサイン

ワキガのにおいのもとになるアポクリン汗腺が多い場合、次のような特徴がみられることがあります。

  • 耳あかが湿っている、またはベタつく
  • 衣類のワキの部分に黄ばみができやすい
  • ご家族にワキガ体質の方がいる
  • ワキの汗の量が多い

これらはアポクリン汗腺が多い方にみられやすい傾向であり、当てはまる項目が多いほどワキガ体質の可能性が考えられます。ただし、これらのサインはにおいの強さそのものを示すものではなく、レベルの判定には用いられません。あくまで体質の傾向を知る手がかりとして捉えてください。

レベル判定に用いられる「ガーゼテスト」

医療機関では、ワキガのレベルを判定する方法として「ガーゼテスト」が用いられることがあります。ワキの下にガーゼをはさみ、一定時間後にそのガーゼのにおいを確認して、においの程度を段階的に評価する方法です。

このテストは、においを客観的に評価するために、医師など医療従事者が判定を行います。ご自身でにおいを嗅ぐ方法では、ふだんから同じにおいに接していることで感じ方が鈍くなる「嗅覚順応」が起こるため、正確な判定が難しくなります。実際には、においがほとんどないにもかかわらず、強いにおいがあると思い込んでしまう「自臭症」の状態も知られています。

そのため、ワキガのレベルを正しく把握するには、医師の診察を受けることが大切です。診察では、においの程度に加えて、汗の量や日常生活への影響なども含めて総合的に評価されます。

ワキガのレベル別の目安(レベル1〜5)

ガーゼテストによる判定では、においの程度に応じてレベル1からレベル5に分けられます。ここでは、それぞれのレベルの目安を紹介します。

レベル1〜2:ワキガの可能性は低い

レベル1は、ガーゼに鼻を近づけてもにおいを感じない状態です。ワキガの可能性は低いと考えられます。レベル2は、鼻を近づけるとわずかににおいを感じる程度で、体臭の範囲と考えられる状態です。

このレベルでは、ワキを清潔に保ち、制汗剤などを使うことで、においが気にならなくなることがあります。においが強く気になるにもかかわらずレベル1〜2と判定された場合は、自臭症の可能性もあるため、医師に相談してください。

レベル3:軽度

ガーゼに鼻を近づけると、ワキガ特有のにおいがはっきりと確認できる状態です。医療機関では、このレベルから腋臭症と診断されることが多いとされます。

普段は周囲に気づかれないことが多い一方、運動後や緊張して汗をかいたときなどに、においを感じられることがあります。

レベル4:中等度

ガーゼに鼻を近づけなくても、においを感じる状態です。エレベーターや車内などの密閉された空間や、すぐ近くに人がいる場面で、においに気づかれることがあります。日常生活のなかで、においが気になる場面が増えてくるレベルです。

レベル5:重度

ガーゼを手に持っているだけで、においを感じる状態です。離れていても、においに気づかれることがあるとされます。日常生活や対人関係に影響が出ることも少なくありません。

ワキガのレベル別に考えられる対策と治療

ワキガの対策は、レベルによって考え方が変わります。においが軽度であればセルフケアで対応できる場合もありますが、レベルが上がるにつれて、医療機関での治療が選択肢になります。

まず試せるセルフケア

レベル1〜2、あるいは軽度のレベル3では、日常生活の工夫でにおいを抑えられる場合があります。

  • 汗をこまめに拭き取り、ワキを清潔に保つ
  • 制汗剤やデオドラント製品を使用する
  • ワキ毛を処理し、汗や皮脂がたまりにくい状態にする
  • 通気性のよい衣類を選ぶ

ただし、セルフケアはにおいを一時的に抑えるためのものであり、においのもとになるアポクリン汗腺そのものに働きかけるものではありません。

医療機関での治療

医療機関での治療は、大きく2つに分けられます。汗の分泌を抑えてにおいを軽減する対症療法と、においのもとになるアポクリン汗腺そのものを取り除く根治療法です。

外用薬

ソフピロニウム臭化物ゲル(エクロックゲル)などの抗コリン外用薬が用いられます。発汗をうながす神経伝達物質のアセチルコリンが汗腺の受容体に結びつくのを妨ぐことで、汗を抑える治療です。対症療法のため、塗布を続ける必要があります。

ボツリヌス注射

A型ボツリヌス毒素製剤をワキに注射する方法です。神経の末端からのアセチルコリンの放出を抑えることで、発汗が抑制されます。効果は投与から数日で現れ、4〜6か月ほど持続するとされますが、効果を保つには一定の間隔をあけた再投与が必要です。

ミラドライ

マイクロ波を照射し、その熱でアポクリン汗腺とエクリン汗腺を破壊し機能を停止させる治療です。切開を伴わないためダウンタイムは比較的短いものの、腫れ、痛み、一時的なしびれなどが生じることがあります。

剪除法(皮弁法)

ワキのしわに沿って皮膚を切開し、皮膚を裏返してアポクリン汗腺を医師が目で確認しながら取り除く手術です。レベル3以上の腋臭症に対して行われる代表的な方法です。

汗腺を直接取り除くため、ワキガの根治が期待できますが、切開を伴うため、術後は一定期間の圧迫固定が必要になります。

保険適用の考え方

腋臭症(ワキガ)そのものに対して保険が適用されるのは、剪除法(皮弁法)です。医師が腋臭症と診断し、日常生活に支障があると判断した場合に、健康保険が適用されることがあります。一般的には、ガーゼテストでレベル3以上と判定されることが一つの目安とされています。

一方、外用薬とボツリヌス注射は、腋臭症ではなく腋窩多汗症(ワキの多汗症)に対して保険適用が認められている治療です。

  • 外用薬(抗コリン外用薬):原発性腋窩多汗症と診断された場合に保険が適用されます
  • ボツリヌス注射:重度の原発性腋窩多汗症と診断された場合に保険が適用されます

ワキガと多汗症は併発することもありますが、保険適用の対象となる病名が異なります。においのみが症状で、多汗症の診断基準を満たさない場合には、これらの治療は自由診療となることがあります。

なお、ミラドライは保険適用外の自由診療です。費用は医療機関によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

どの治療が適しているかは、においのレベルだけでなく、汗の量、生活への影響、ダウンタイムをどの程度許容できるかなどによって変わります。

ワキガのレベルに関するよくある質問

Q1. ワキガのレベルは、自分で調べられますか?

においの感じ方には嗅覚順応が起こるため、ご自身のにおいを客観的に判断することは難しいとされています。耳あかの湿り具合や衣類の黄ばみなどから体質の傾向を知ることはできますが、レベルそのものの判定は、医療機関でのガーゼテストや診察によって行われます。

Q2. ワキガのレベルは、年齢とともに変わりますか?

ワキガのにおいは、アポクリン汗腺が発達する思春期以降に強くなり、その後は加齢にともなって目立たなくなる傾向があるとされています。ただし変化には個人差があり、いつ、どの程度変わるかを予測することはできません。

Q3. 手術の傷あとは残りますか?

剪除法はワキを切開する手術のため、傷跡は残ります。ただし、ワキのしわに沿って切開することで、傷あとが目立ちにくくなるよう配慮して治療が行われます。時間の経過とともに傷は少しずつ落ち着いていきますが、治り方には個人差があります。

Q4. レベルが低ければ、治療は必要ありませんか?

レベル1〜2であれば、セルフケアで対応できる場合があります。ただし、においの程度と本人の悩みの深さは必ずしも一致しません。日常生活や対人関係に支障を感じている場合は、レベルにかかわらず、一度医療機関で相談することをおすすめします。

まとめ|ワキガのレベルは診察で正確に把握できます

ワキガ(腋臭症)のレベルは、においの程度によって一般的に5段階で表され、レベル3以上でワキガと診断されることが多いとされています。

耳あかの湿り具合や衣類の黄ばみなどから、ワキガ体質の傾向を知ることはできます。ただし、においの強さは自分では客観的に判断しにくいため、レベルの判定は医療機関でのガーゼテストや診察によって行われます。

対策は、レベルによって考え方が変わります。レベルが低い場合はセルフケアで対応できることもありますが、レベル3以上では、外用薬やボツリヌス注射、ミラドライ、剪除法といった治療が選択肢になります。

ワキのにおいが気になり、日常生活や対人関係に影響を感じている場合は、レベルを自己判断せず、医療機関で相談することをおすすめします。

ワキガ治療は古林形成外科 難波心斎橋院

古林形成外科難波院

大阪府大阪市の古林形成外科難波院では、日本形成外科学会認定の形成外科専門医が、患者さま一人ひとりの症状やお悩みに合わせてワキガ治療を行っています。

ワキガのにおいや重症度には個人差があり、セルフケアで症状が軽減する場合もあれば、医療機関での治療を検討した方がよい場合もあります。当院では、まず診察でにおいの程度や発汗の状態、日常生活への影響などを丁寧に確認し、治療が必要かどうかを含めて診断いたします。

治療法としては、ミラドライ、剪除法、ボトックス注射などに対応しており、症状の程度やライフスタイル、ダウンタイムのご希望などを踏まえ、患者さまに適した治療法をご提案いたします。

ワキガでお悩みの方は、当院までご相談ください。

この記事の監修者

著者画像
古林形成外科 難波心斎橋院
総括医 古林 玄
日本形成外科学会 形成外科専門医
大阪医科大学卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院にて臨床経験を積み、がん研有明病院および聖路加国際病院では形成外科専門医として幅広い手術に携わる。これまでの経験を活かし、形成外科的視点から適切な切除と再建を行い、可能な限り傷跡の目立たない治療を提供。
日本形成外科学会 形成外科専門医
大阪医科大学卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院にて臨床経験を積み、がん研有明病院および聖路加国際病院では形成外科専門医として幅広い手術に携わる。これまでの経験を活かし、形成外科的視点から適切な切除と再建を行い、可能な限り傷跡の目立たない治療を提供。
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