ワキガなのに本人が気づかないのはなぜ?その理由とセルフチェック・治療法まで解説
大阪府大阪市の古林形成外科 難波心斎橋院です。当院では日本形成外科学会認定の形成外科専門医が患者様一人ひとりの状態に合わせた、ワキガ治療をご提供しています。
ワキガは本来、特有の臭いを伴う疾患でありながら、本人が気づきにくいという特徴があります。一方で、実際には強い臭いがないにもかかわらず「自分は臭っているのでは」と過度に心配してしまう自臭症のケースもあり、自己判断が難しい場合も少なくありません。
この記事では、ワキガに気づきにくい理由やセルフチェックのポイント、ワキガと自臭症の違い、そして医療機関で受けられる治療について解説します。
ワキガなのに本人が気づかないのはなぜ?

ワキガ(腋臭症)は、本人が自覚しにくい特徴を持つ疾患です。実際、「家族や同僚から指摘されて初めて気づいた」というケースも少なくありません。本人が気づきにくい理由には、次のような要因が関係しています。
1. 嗅覚の“慣れ”が起きるため
最も大きな理由のひとつが、嗅覚の“慣れ”(嗅覚順応)です。嗅覚は、同じ臭いを嗅ぎ続けると感覚が鈍くなり、臭いを感じ取りにくくなる性質があります。
自分の体臭は常に自分の周囲に存在するため、脳が次第に「日常的な臭い」と認識し、臭いを感じにくくなります。これは香水や柔軟剤の香りでも同じで、人が自分の臭いに気づきにくい大きな理由です。
2. 自分の「ニオイの基準」が形成されるため
人は幼少期から過ごす家庭環境の中で「ニオイの基準」を自然に作り上げます。家族にワキガ体質の人がいる場合、その体臭に慣れてしまい、自分にも同じような臭いがあっても特に気にならないことがあります。
このため、周囲の人にとっては気になるレベルの臭いでも、本人は“普通の臭い”として認識してしまうことがあります。
3. ワキガの臭いは“変動しやすい”ため
ワキガの臭いは常に同じ強さではなく、状況によって大きく変動します。運動や緊張時の発汗、ストレス、暑さ・湿度、思春期のホルモン変化などによって臭いが強まることがあります。
女性の場合、生理前に汗や皮脂の量が変化して、臭いが強くなることがあります。普段はあまり気にならなくても、特定の場面でだけ強く匂うため、本人が気づきにくいケースがみられます。
自分や身近な人がワキガか不安な時のセルフチェック

ワキガの臭いは、自分では気づきにくい特徴があります。そのため、「もしかして自分もワキガかもしれない」「家族のニオイが気になるけれど、ワキガかどうか分からない」と感じる方は少なくありません。
ワキガかどうかを見極めるには、いくつかの体質の特徴を確認することが大切です。ここでは、自分や身近な人がワキガ体質かどうかを判断する際に役立つセルフチェックの方法をご紹介します。
セルフチェック1:耳あかが湿っている
耳の中にもアポクリン汗腺が多く存在するため、耳あかが湿っている人はアポクリン汗腺が発達している可能性があります。湿性耳垢はワキガ体質との関連が指摘されています。
セルフチェック2:ワキの汗がベタつきやすい
アポクリン汗腺から出る汗は、通常の汗(エクリン汗)よりも脂質やタンパク質が多く、やや粘り気を感じることがあります。運動・緊張・暑さなどでワキのベタつきが目立つ場合、ワキガ体質の可能性があります。
セルフチェック3:衣服のワキ部分が黄ばみやすい
アポクリン汗腺から出る汗は脂質やタンパク質が多く含まれており、これらが酸化すると衣類のワキ部分が黄色く変色しやすくなります。白いTシャツのワキが繰り返し黄ばむ場合は、ワキガ体質のサインのひとつといえます。
セルフチェック4:家族にワキガ体質の人がいる
ワキガは遺伝性の強い体質です。両親のどちらか、あるいは両方がワキガ体質の場合、子どももワキガになる可能性が高いとされています。家族にワキガの方がいる場合は、体質的にワキガである可能性が考えられます。
セルフチェック5:脇毛が太く密集している
アポクリン汗腺は毛の根元に多く存在するため、脇毛が太く密度が高い人では汗がとどまりやすく、臭いが強くなりやすい傾向があります。毛量が多いことで汗が毛の周囲にとどまり、皮膚の常在菌と混ざって臭いが発生しやすくなるため、臭いの強さに影響することがあります。
実は「気にしすぎ」の場合もある?自臭症との違い

ワキガの臭いは本人が気づきにくい一方で、逆に「実際には強い臭いがないのに、本人だけが気にしてしまう」というケースもあります。これが自臭症(自己臭恐怖)と呼ばれる状態です。ワキガと自臭症は混同されやすいものの、原因も対処法も大きく異なります。
自臭症とは、周囲の人が実際には感じていない、またはごく弱いレベルの体臭を「自分は強く臭っているに違いない」と思い込んでしまう状態を指します。精神的ストレス、過去の指摘、対人関係の不安などがきっかけとなり、「臭っているのでは」という不安が強まることがあります。
ワキガとの大きな違いは、客観的な臭いの有無です。ワキガではアポクリン汗腺からの汗と皮膚常在菌の分解によって、実際に特有の臭いが発生します。一方で自臭症では、本人が強く感じていても客観的には臭いが確認できない、あるいは生理的範囲の体臭に過ぎないことがほとんどです。
もし「自分はワキガかもしれない」と不安があっても、誰にも指摘されたことがなかったり、家族が確認しても問題がない場合は、自臭症の可能性も考えられます。そのような時は、無理に自己判断せず、専門医に相談することで不安を軽減することができます。
医療機関で受けられるワキガ治療

ワキガの臭いが気になる場合は、医療機関での治療が推奨されます。ワキガの治療法には、外用薬・ボトックス注射・手術(剪除法)・ミラドライなどがあり、症状の程度や患者さまの希望に応じて適切な治療が行われます。
外用薬
外用薬では、エクロックゲルやラピフォートワイプが主に使用されます。
これらはいずれも原発性腋窩多汗症に対して保険適用のある治療薬で、神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを抑制することで発汗を抑制します。効果は徐々に現れるため、症状の改善には一定の期間が必要となり、対症療法であることから症状が落ち着いていても継続的な使用が推奨されます。
ボトックス注射
ボトックス注射は、重度の原発性腋窩多汗症に対して保険適用が認められている治療です。
A型ボツリヌス毒素がアセチルコリンの放出を抑制することで発汗を抑えます。効果は注射後数日以内に現れ、4〜6か月ほど持続します。発汗抑制効果を保つためには、4か月以上の間隔をあけて定期的に治療を受ける必要があります。
手術(剪除法)
手術治療としては剪除法(せんじょほう)が一般的です。剪除法は皮弁法(ひべんほう)とも呼ばれ、ワキガ(腋臭症)の治療として、保険適用が認められています。
手術方法としては、腋の真ん中を切開し、そこからアポクリン汗腺を直接切除します。ワキガの原因となるアポクリン汗腺を、目視で確実に除去するため、ワキガの根治が可能です。剪除法による治療は、ワキガ治療の中でも高い治療効果が期待できます。
ミラドライ
ミラドライは、原発性腋窩多汗症に対する治療機器として、国内で薬事承認を取得しています。
マイクロ波によって汗腺を熱で破壊し、発汗を抑制する治療法です。破壊された汗腺は活動を停止し、その機能は再生しないとされているため、効果は半永久的と考えられています。また、手術のような切開を伴わず、傷跡が残らないことから、低侵襲な治療である点も特徴です。
なお、ミラドライは保険適用外のため、自費診療となります。
まとめ|ワキガは気づきにくいからこそ専門医に相談を

ワキガに気づきにくい理由としては、嗅覚が慣れてしまうことや、自分自身の「ニオイの基準」が形成されていること、さらにワキガ特有の臭いが日によって変動しやすいことなどが挙げられます。
日本人は一般的に臭いに対する意識が高く、ワキガはコンプレックスにつながりやすい傾向があります。場合によっては日常生活に支障をきたすこともあるため、セルフチェックでワキガ体質が疑われる場合や、日常生活に支障が生じている場合には、医療機関での治療が推奨されます。
医療機関では、症状の程度や患者さまのご希望に応じて適切な治療が行われ、ワキガの症状軽減が期待できます。気づきにくい症状だからこそ、早めに専門医へ相談することが大切です。
ワキガ治療は古林形成外科 難波心斎橋院

大阪府大阪市の古林形成外科 難波心斎橋院では、日本形成外科学会認定の形成外科専門医が患者様一人ひとりの状態に合わせた、ワキガ治療をご提供しています。
当院では、ミラドライ、剪除法、ボトックス注射などの治療を行っており、症状の程度やライフスタイル、ご希望に合わせた治療のご提案が可能です。
ワキガでお悩みの方は、ぜひ当院までご相談ください。

